山帰来のひとりごと/第一夜「月見の夜にひとりごと」

山歩きはサルトリイバラとよく出会う。

「く」の字型に曲がりくねった堅い茎のところどころに下向きの鋭い刺があって、引っ掛かった猿が捕まることから猿獲茨(さるとりいばら)の名がついた。

密生している場所に踏み込むと、進退極まり、モガキイバラ・ジゴクイバラの恐ろしい名もある。

昔からあんころ餅を包むのに手ごろであるのでよく使われた。

端午の節句の柏餅はこの葉。「カシワモチのハ」、「カシワのハ」の名で親しまれ、ひなびた味は捨てがたく、その移り香は懐かしい。

山帰来(さんきらい)

植物分類ユリ科シオデ属
原産地:日本、朝鮮半島、中国、インドシナ

丸く赤い実と、刺をもったジグザグのツルが面白い対比を見せる落葉植物。

山帰来のひとりごと

忙しい時代に忙しく生きているわたしたち。
世の中の不安に惑わされながらも懸命に生きているわたしたち。

でも疲れたときには、ちょっとだけ立ち止まって、空を見上げてみませんか。
空気の味わいや緑の美しさを思い出してみませんか。

そして、目にも美味しい自然の恵みに舌鼓を打ち、小さな旅に出掛けてみませんか。

私共は、 絵と言葉と写真とまごころを盛ってみなさまをお迎えいたします。

毎回、季節にまつわる、食材にまつわるテーマを取り上げ、生活にささやかな彩りと遊び心を加えて頂けるような、楽しいお話をお送りしたいと思っております。

では、はじめてのお話。
それは、暑さが懐かしく冬の足音が聞こえてくる、美味しい季節のお話。

茄子(なす)

なすの原種は、インド東部に自生するソラヌム・インサヌムと推定され、日本には平安時代に渡来しました。正倉院文書に天平勝宝二年(西暦750年)に載った記録が初見。

以来、あらゆる古代の文献には必ず記載され、このことからも当時の重要な野菜だったことがわかります。 初夢を見るなら「一富士二鷹三茄子」とよくいわれますが、これはいずれも駿府名物をいったもので徳川家康は駿府になすの庭園を作り、初夏には早飛脚で江戸に送らせていたそうです。

子なすの南蛮煮

[材料]
 なす(小)5-6個、赤唐辛子1-2本、だしカップ2/1、油、酒、しょうゆ、砂糖

[作り方]
1:なすはヒラヒラしたガクを取り除き、表面に細かく斜めに包丁目を入れる。ていねいにする時は、竹串で刺すと良い。赤唐辛子は半分に切り、種を除く。

2:なべに油大さじ1を熱して、なす、赤唐辛子を炒め 分量のだし、酒、しょうゆ各カップ3/1、砂糖子さじ1を加え、始めは強火で煮る。沸騰してきたら弱火にし、落としぶたをしてじっくり煮つめる。